大判例

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東京地方裁判所 昭和30年(ワ)9061号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕被告は原告に対し永年の勤労に酬いるため慰藉料として昭和二九年九月以降毎月末限り金五〇〇〇円を支給する意思ある旨の覚書草案を送つた。この草案には被告の下宿屋営業がその妻名義であつたところから被告の妻の名義が書かれ被告の名は出ていなかつた。被告は本件は書面によらざる贈与であるから取消すと主張したが、判決はこれを排斥した。曰く

「……蓋し民法第五五〇条には単に「書面に依らざる贈与」とだけあつて、取消されるおそれのない贈与であるためには如何なる書面によることを要するかの限定がないから、かかる書面としては契約の双方当事者または贈与者の署名捺印あるものに限らず、およそ贈与者の贈与の意思が受贈者に対する関係で表明されている書面にあれば足りると解する。なお右覚書は草案となつているけれども、それは前記認定のとおり口頭で成立した奨約を覚書の形で文書に表現しようとした過程において作成されたからであつて右認定を左右するに足らない。」

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